「絶対に死ぬと思った」 転覆した船から投げ出された親子が語った緊迫の瞬間

保津川下りの船が転覆した現場付近(28日午後2時24分、亀岡市)

 28日午前10時55分ごろ、京都府亀岡市の桂川(保津川)で、観光川下り「保津川下り」の船1隻が座礁し、転覆した。京都府警亀岡署などによると、乗っていた客25人と船頭4人の全員が川に投げ出され、男性船頭(51)=亀岡市=が死亡、男性船頭(40)が行方不明になった。乗客25人とほかの船頭2人は救出され、13~54歳の女性客9人が低体温症や打撲などで搬送されたが、命に別条はないという。

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 転覆した船に乗船していた、大阪府から訪れた男性(40)は小4の息子(10)とともに川に投げ出された時の状況を語った。男性は「絶対に死ぬと思った」と疲れ切った表情で話し、息子は「水がめちゃくちゃ冷たかった」と振り返った。

 2人は過去に保津川下りをして楽しかった思い出があったため、今回嵐山を訪れたという。

 船に乗っていると大きな衝撃があり、そのまま川に投げ出された。男性は「大変なことになり、絶対に死ぬと思った。100メートルほど流されて気付いたら浅瀬にいた。その後はずっと寒かった」と語った。

 息子は「後ろのかじをしている人が落ち、『止めろー』という大きい声がした」と説明した。別の船頭が船を操作しようと試みたが転覆、自身も川に落ち、そのまま下流に流されていった。「足が着くところまで行って、気付いたらお父さんがいたから、すぐお父さんにつかまった。泳ぐのは緊張しなかった。水はめちゃくちゃ冷たかった」と話した。

 

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