天台座主の森川宏映氏が死去 96歳、天台宗・延暦寺トップ

最澄の大遠忌御祥当法要の際に記念撮影に臨む森川宏映天台座主(2021年6月4日、大津市・比叡山延暦寺)

 天台宗総本山・延暦寺(大津市)座主の森川宏映(もりかわ・こうえい)氏が22日午前7時30分、延暦寺の真蔵院で老衰のため死去した。96歳だった。愛知県春日井市出身。通夜は25日午後7時から滋賀院門跡(大津市坂本4の6の1)で、密葬は26日正午から滋賀院門跡で。本葬は天台宗務庁で行うが日時は調整中。

 京都大農学部で造林学を学び、卒業後は延暦寺営林課、管理部に長く勤務するなど比叡山保全に尽くした。比叡山中・高の校長、毘沙門堂門主などを歴任。2015年12月に第257世座主に就任した。16年から10年計画で行われている根本中堂(国宝)と根本中堂廻廊(重要文化財)の保存修理事業にも尽力した。

 森川座主は8月4日、延暦寺で行われた「世界平和祈りの集い」に出席し、国内外の宗教者とともに宗教や宗派を超えて、晴天の比叡山から平和の祈りを世界へ発信した。

 1987年の「比叡山宗教サミット」を受け継いで天台宗などが開き、日本キリスト教連合会や教派神道連合会、神社本庁、日本ムスリム協会など8団体の代表者はオンラインで遠隔地から参加した。森川座主は世界で憎悪や暴力の連鎖がやまず、われわれの心はコロナ禍でさらに不安に覆われていると指摘。「今こそ宗教者は相互理解を深め、博愛、利他主義に基づく連帯を強固にし、世界平和を希求し続けなくてはならない」と呼び掛けた。

 6月4日には、宗祖・最澄(伝教大師)が亡くなって1200年目となる「1200年大遠忌」の御祥当(ごしょうとう)法要に出席。2012年から展開してきた大法会メインとなる法要で、森川座主らが傘をさして行列をつくり、大講堂へ入った。最澄がともしたとされる「不滅の法灯」が根本中堂から分灯して奉安され、僧侶たちが阿弥陀経を唱えるなどした。

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