ワコール、乳房再建手術の共同研究 3D計測システムでブラジャーなど開発

ワコールが開発した乳房再建手術用のブラジャー

 ワコール(京都市南区)は22日、乳がん患者の乳房再建手術で、がん研究会有明病院(東京)と共同研究を始めたと発表した。自社の3D計測システムを使い難易度の高い再建手術をサポートするブラジャーを開発した。術後生活の質の向上につなげる。

 患者自身の体の組織を使う乳房再建手術では、医師は手術しない側と再建する側の乳房を見比べながら調整するが、目視によるため術後はブラジャーに胸がきれいに収まらないという悩みを持つ患者は多い。

 開発した手術用のブラジャーは、術前に3D計測システムでバストの正確なサイズを測って一人一人に合わせて製作する。手術中にブラジャーを目安にすれば乳房を再建しやすくなるという。

 また、リコーの協力も受け、3Dプリント技術で実際の乳房に近い柔らかさを再現した3Dプリントバストの活用法を検討する。

 ブラジャーは1年間ほどの検証を重ねて改良し、将来的には他病院への提供拡大を目指す。東京都内からオンラインで記者会見したワコールの伊東知康社長は「女性と社会に貢献していくという熱意と目指すところが合致した。意義深い共同研究だ」と話した。

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