懐かしの木造駅舎、ペーパークラフトで精巧に再現 6月下旬から通信販売へ

出野さんが手がけたJR八木駅のペーパークラフト。瓦の枚数まで実物と同じだという(京都府南丹市園部町・はんなりカメちゃんの丹の夢工房)

 京都府南丹市八木町のJR八木駅にあった木造駅舎を再現したペーパークラフトが完成した。建て替え前の駅の記憶を後世に伝えようと、南丹市のミニチュア作家が手がけた。外観はもとより、待合室の傘立てや自販機など内部も再現するなど、精巧なつくりで、6月下旬頃から通信販売などで扱う。

 木造駅舎は1934(昭和9)年から長年利用されてきたが、橋上駅舎に建て替えるため、今年2月に取り壊された。
 ペーパークラフトは、かやぶきの家や保津川下りなど、さまざまなミニチュアを作ってインターネット上を中心に発信している「はんなりカメちゃんの丹(に)の夢工房」の出野善明代表(51)=同市園部町=が作った。
 縦約10センチ、横約25センチで150分の1のスケール。何度も駅に通って撮影した2千枚の写真などを用いながら、位置関係が同一になるよう、母屋と窓などの配置を微調整して作り上げた。特徴的な駅舎の丸窓や、地域の温かさがにじむ善意の傘コーナー、自販機なども再現した。屋根瓦の枚数は実物と同じだという。屋根は取り外しができるようにした。
 電車のミニチュアをホームに置いたり、待合室に電気をつけたりと、クラフトをもとに、さまざまな楽しみ方ができるという。
 20年近く前の労働災害で左足にまひが残る中、4カ月ほどかけて原版を完成させた。出野さんは「手にした人に『おおっ』と思ってもらい、長く手元に置いてもらえるとうれしい」と話す。
 2~3千円での市販を検討している。作成にはカッターナイフなどが必要で、対象年齢はおおむね12歳以上。今後、同工房のフェイスブックやブログなどを通じて詳細を発信する。

ペーパークラフトの内部。待合室にあった善意の傘コーナーや自販機、ベンチなどを忠実に再現した

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