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鈴木馨祐法相は28日の閣議後記者会見で、自動車運転処罰法が規定する危険運転致死傷罪のうち、高速度と飲酒の類型に数値基準を設ける検討を、2月の法制審議会(法相の諮問機関)総会に諮問すると表明した。要件が曖昧との批判がある現行法の明確化が狙い。法改正に向けた議論が本格化する。ドリフトなどタイヤを滑らせる走行を対象に加えることも諮る。
法務省の有識者検討会が昨年11月、見直しを提言する報告書をまとめていた。危険運転の法定刑の上限は懲役20年で、交通事故に適用されることの多い「過失運転」の懲役7年と大きな差がある。高速度や飲酒の処罰要件に数値の定めはなく、悪質な態様の事故でも過失運転と判断され、遺族らが疑問の声を上げるケースが相次いでいる。
法制審では、道路の形状や運転手の体質といった個別事情にかかわらず、危険運転と判断できる数値基準をどのように設定するかが焦点になる。
有識者検討会では「最高速度の1.5倍や2倍」とする意見が上がったほか、飲酒は血中や呼気のアルコール濃度で判断する案が出ていた。