防衛戦略に詳しい米シンクタンク、新米国安全保障センター(CNAS)のベッカ・ワッサー上級研究員は、米国が中国とロシアという二つの核保有国をにらみ、同時抑止を迫られる「史上初の事態」に直面しているとの見方を示した。中ロの野心的な行動に対抗するには、日本を含む同盟国との相互運用性の向上が課題だとした。(ワシントン共同)
―史上初の事態とは。
「冷戦時代、米国にとっての脅威はソビエト連邦だけだった。今は軍の近代化を進める中国とウクライナ侵攻を続けるロシアを同時に抑える必要がある。米軍を再編し、対中国でどの兵力をインド太平洋地域に振り分けるか、同盟国とどのような協力をするか再考すべきだ」
「同盟国との共同演習も重要になる。米国と同盟国には中国の台湾侵攻を抑止する力があり、力を使う意思もあると中国に納得させるためだ。台湾有事を想定した演習を東シナ海で実施すれば、力と意思を示せる。米国にとってインド太平洋で最も大切なパートナーは、オーストラリア、フィリピン、日本だ」
―日米の課題は。
「相互運用性や互換性を高めることだ。軍事物資や弾薬の共同備蓄、医療物資や食料の備蓄も重要になる」
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2009~14年、英シンクタンク国際戦略研究所(IISS)に所属し、22年10月現職。