<再ブレーク盤>武田真治『BREATH OF LIFE』

 芸能界デビュー30周年を記念した24年ぶりのソロ・アルバム。筋肉美と美顔の写真満載のブックレットだが、音楽だけでも十分楽しめる。

 全13曲、武田本人がプロデュースしていて、とにかく華やか!テレビ番組の“筋肉リズム体操”企画で使用されたオールド・ディスコ風の『Fight for Love』や、武田がルパン三世に扮したようにスリリングな『The Hitman』、さらにゴダイゴ『Monkey Magic』をダンスミュージックに焼き直したような『Monkey Panic』などは、王道の力強いインストが好きな人におススメ。

 他方、DJ DRAGONによるパーティー系の『Hands Up!!』、俳優の内田朝陽によるクールな『Mission in Fever』、音楽プロデューサーのKSUKEによるEDM節全開の『East Knight』など、旬のトラックメーカー制作の3曲は、無機質なサウンドと武田の肉感的なサックスの対比が面白い。

 他にも、武田が書いた歌詞をジャズシンガーのShihoが歌った『Wonderland Tonight』は、SUGAR BABE『DOWN TOWN』のように明るいスタンダード感があるし、憧れの藤井尚之とサックスでコラボした『Steppin’Wolf』は、まるで二人が笑顔で向き合っているようで、こちらまで楽しくなる。

 特に感心したのは、メロウなバラードの『Epiphany』や、よりムーディーな『Deep Breath』での武田の演奏。素晴らしい歌声は楽器演奏のように響くと言われるが、逆に武田の演奏もまた歌声のように、男の寂しさを呟いているように聞こえる。

 本作を聴けば、表舞台に立つ人ならではの輝きや、全体のバランス感覚を学ぶはず。

(ワーナーミュージック・3000円+税)=臼井孝

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