『後ハッピーマニア』安野モヨコ著 恋愛サバイバーの流浪の旅、再び!

 みんなーーーーーー!!シゲタが!!!帰ってきたよーーーーーっっっ!!!!!

 1995年に連載開始、98年にはテレビドラマ化され(主演は稲森いずみ、そしてノリノリ紀香!時代!!)社会現象にまで発展した「ハッピー・マニア」。ご存じない方にざっくり説明しますと、男を見る目皆無の恋愛サバイバー、重田加代子が繰り広げる愛と勇気のハチャメチャ冒険譚であります。東大生+メガネ+チェックシャツのタカハシという、シゲタにゾッコンLOVEの冴えない彼氏(になったり降格したり)がいるにもかかわらず、脱走、浮気、からの本気等々を繰り返す暴走シゲタ。そんな裏切りともいえる行為を繰り返すことで、シゲタが、果たしてあるのかわからない「本当の愛」を探す物語なわけです。私が結婚できない理由の4割はこの作品に出会ってしまったことだと断言するほど(責任転嫁&八つ当たり)、世の女性たちの第三の目を刮目させてしまった問題作。今も根強い人気を誇る伝説のマンガの続編が、20年近い時を経て連載開始されたわけです!そら興奮するわ!!

 舞台は前作完結から15年後。高橋加代子となって15年目のシゲタは、ある日タカハシからこう告げられる。「離婚してほしい」。シゲタは、これまで散々自由奔放に脱走を繰り返してきたにもかかわらず、突然別れを切り出されたことに動揺を隠せない。因果応報?しっぺ返し?掌返し?下克上?混乱した頭のままシゲタは家を飛び出して、駆け込み寺としておなじみ親友フクちゃんの家で茫然とする。別れたくないのは愛しているからなのか、生活を失いたくないからなのか……そしてシゲタの幸せを求める流浪の旅が始まった。

 「『永遠の愛』なんて本当は誰も誓えない」「今…愛してればいいから」そう言ってプロポーズをしたタカハシは、マジでガチでリアルに永遠の愛がどこにもないことを、自身の心変わりを以て証明してしまった。20年前に聞いても信じられなかったであろうその展開は、20年経って読んだら難なく受け容れてしまえる。当時よりも本作への熱が冷めたから?いや、20歳老けたからだな。。。言いたかないがな。。。

 本作で果たしてシゲタとタカハシはどう変わったのか、はたまた変わっていないのか、それを読む自分はどう変わってどう変わらないのか確認するのが楽しみ。安野モヨコの台詞って本質を鋭く突くから、読みながら耳が痛いこともしばしばなんですよね。でもそれは自分を知る機会にもなる。今回の続編、私はどんな言葉に胸を打つかな。成長してたらいいな。私にとってシゲタの物語は、自分とじっくり向き合い対話する座禅みたいな読書体験だ。ま、座禅したことないんだけど。

 ちなみに前作を読んでいた当時大学生の心のベストテン第1位の台詞は、シゲタの「あたしはあたしのことスキな男なんてキライなのよっ」でした。な、なんか若い……。

(祥伝社 900円+税)=アリー・マントワネット

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