<大ヒット盤>ハルカミライ『THE BAND STAR』カリスマ性と親しみやすさの振り幅

 2012年、八王子で結成された男性4人組バンドの2ndフルアルバム。既に動員約9千人のワンマン公演を成功させ、通常盤のみそのLIVE映像が収録されている。

 CDは全10曲で約28分というスピード感で、ブルーハーツの系譜を感じさせつつも、全作詞・作曲を手がける橋本学の歌声は柔らかな声で歌うのもあるし、また歌詞に登場する実直な主人公は同じ地元のFUNKY MONKEY BABYSに相通ずるものがあるし、親しみのあるコーラスはウルフルズを想起させる。

 『優しく飛んでゆけ』は、緩急のあるリズムや、「しゃららららら」の歌詞がLIVEで大いに盛り上がりそうだし、“尖った黄色人種”を意味する『PEAK’D YELLOW』は、「ただ僕は正体を確実を知りたいんだ」の4人のユニゾンから始まり、常に「明るい場所を探し望んでる」という渇望感に満ちたアグレッシブなナンバー。かと思えば、『ピンクムーン』は、ミディアム調のラブソングだし、『友達』は、ギター弾き語りからバンド編成に移り変わる所に、孤独から共生を感じさせる。粗削りに見せつつも、全体のバランス感覚が絶妙に良い。その点では、初期のサザンオールスターズに近い気もした。

 DVDは約134分のLIVE映像で、パンキッシュな楽曲(特に4度も演奏された『ファイト!!』)に合わせて観客がダイブし放題など、よりワイルドな一面も見せるが、カリスマ性の高さと親しみやすさの振り幅の大きさも魅力。本作を聴けば、冷めているよりも熱くなった方が誰かと繋がりやすいことを実感するはず。

(ユニバーサルミュージック・CD+DVD通常盤4182円+税)=臼井孝

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