海外で評価高い“童顔の暗殺者” WBCライトフライ級王者、寺地拳四朗

昨年12月のWBCライトフライ級世界タイトルマッチで、7度目の防衛に成功した寺地拳四朗(左)=横浜アリーナ

 ボクシングの米メディアは現役世界王者の強さを比較するケースが多く、これまでバンタム級の井上尚弥(大橋)が日本人最上位というのが定説だった。

 しかし、最近の一部メディアの発表で9位の井上を抜き、4位にランクされたのが世界ボクシング評議会(WBC)ライトフライ級チャンピオン寺地拳四朗(BMB)である。

 驚きの評価ではあるが、確かに寺地の安定感が増しているのも事実。今後のリングに注目したい一人だ。

 寺地は京都府出身の28歳。元東洋太平洋王者の父に育てられ、アマチュアで活躍した。

 国体優勝などのキャリアを積み、57勝16敗の成績を残し、2014年8月にプロデビュー。日本、東洋太平洋のライトフライ級王座を獲得した後、17年5月、判定で世界王座を獲得した。

 当時パワー不足は否めなかったが、王座を防衛するたびにパンチの切れ味が鋭くなり、KO勝ちも目立ってきた。

 ここまで7度の防衛に成功。うちKOが五つを数える。デビュー以来の連勝も17に伸ばし、まさに乗っている。

 7度目の防衛戦を前にある決断をした。リングネームを「拳四朗」から本名の寺地拳四朗に変えた。心機一転の境地だったのだろうか。

 “童顔の暗殺者”と呼ばれるほど見た目から怖さは感じられないが、ゴングが鳴ると別人に変身する。

 ショートパンチでリズムを作り、ボディーブローで仕留めるのが得意パターン。一発で沈めるほどの切れ味が大きな武器だ。

 その寺地には今後、二つの目標がある。まず世界ボクシング協会(WBA)スーパーチャンピオン京口紘人(ワタナベ)との統一戦だ。

 二人はアマ時代からのライバルでもあり、26歳と年下の京口には負けられないところだ。

 対決に寺地は前向きな姿勢を見せている。実現すれば手に汗握る熱戦は必至。両陣営の決断が待たれる。

 もう一つは具志堅用高が持つ日本人最多記録の世界13連続防衛だ。

 更新を期待された山中慎介が12連続でストップしており、ハードルは高い。

 しかし、寺地は具志堅の記録を今から意識している。「10連続まで防衛すれば、周囲も(記録に)気づいてもらえると思う」と話している。

 果たして、快進撃はいつまで続くのか。旺盛なファイティングスピリットでどこまで迫れるか、興味深い。(津江章二)

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