<今こそ観たい、邦画3選>『感染列島』今まさに戦う医療従事者の方々を守るのは、一人一人の責任感

 今から11年前、2009年に公開された妻夫木聡主演、『64ーロクヨンー前編/後編』『菊とギロチン』などの瀬々敬久監督がメガホンを取った作品です。高熱、痙攣、多臓器不全を起こして死に至る新型ウイルスが東京で蔓延。日本中にウイルス感染が広がり、わずか半年で感染者が爆発的に増えていくことにより、戦場と化す医療現場の様子をリアルに描きます。

 公開当時、この映画が11年後の日本の現在を描くことになるとは誰が想像したでしょうか。新型コロナウイルスは、まさに映画の中同様、日本どころか世界に蔓延し、現実に私たちを苦しめています。この映画の中には、感染を恐れてパニックになって逃げ出す人たち、負の感情から生まれる人間同士の憎み合い、家族や恋人との絆など、様々なドラマが描かれています。でも私が、この映画で何よりも皆さんに観ていただきたいのは、感染の恐怖と戦いながら、人々の命を救おうとする医療従事者たちの姿です。

 日本国内では今まさに、一部の病院で医療崩壊が起こっています。単純に「医療崩壊」と言っても、私たちはその様子を自分たちの目で見ることはできません。でもこの映画は、私たちが見ることができない<病院の中の現実>を見せてくれています。病床数も足りず、マスクも十分でない中、医師も看護師も、寝る間を惜しまず、必死の思いで患者さんにできる限りの治療をしています。そしてその誰もが、誰かにとって大切な人。皆、大切な人たちを家に置いて、命を助けているんです。医療従事者の方々を守るためにも、絶対に感染しないようにSTAY HOMEを徹底するため、ぜひもう一度本作を観てもらいたいです。(森田真帆)★★★★☆

監督:瀬々敬久

出演:妻夫木聡、壇れい、国仲涼子

「感染列島 スタンダード・エディション」

DVD発売中

発売元:TBS・東宝

販売元:東宝

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