バンタム級の頂点へ、膨らむ期待 井上尚弥、11月7日に最強決める舞台へ

記者会見を終え、写真撮影に応じるWBA、IBFバンタム級王者の井上尚弥(左)とWBA同級スーパー王者のノニト・ドネア=26日、東京都内

 世界ボクシング協会(WBA)と国際ボクシング連盟(IBF)バンタム級王者の井上尚弥(大橋)が11月7日、さいたまスーパーアリーナで最強の座を争うワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝の舞台に立つ。

 相手は元世界5階級制覇のノニト・ドネア(フィリピン)。実績豊富なベテランに対し、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。世界中の関係者、ファンが注目する大一番だ。

 井上の強さは抜きん出ている。昨年10月、WBSS1回戦で、フアン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を1回、右ストレート一発でKO。計り知れない衝撃だった。

 さらに今年5月の準決勝でもエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を2回TKOで下した。

 この試合ではボディーブローが特に光り、途方もない才能を感じさせた。これで18戦全勝(16KO)。向かうところ敵なしの快進撃が続いている。

 世界的な評価もグングン上昇している。体重が同じという想定で競うパウンド・フォー・パウンド(PFP)でも、海外の多くのメディアがベスト3以内にランクしている。

 日本人ボクサーがこれほど上位に顔を出した例はなく、井上の実力が文句なしと認められている証明といえるだろう。

 スピード、パワー、テクニック。三拍子がそろい、欠点が見当たらない。大げさではなく、井上の負ける姿が想像できないほどだ。

 ドネアのキャリアは素晴らしく、アジアが誇る名王者の一人である。7年前、西岡利晃(帝拳)を9回TKOに下したファイトは圧巻だった。

 大方の予想は井上有利だが、「そう簡単にドネアを攻略できないだろう」という意見があるのも事実。40勝(26KO)5敗の戦績が示すように、パワーがあり何よりプライドがドネアを支えている。

 その両者が8月下旬、東京都内で記者会見に臨んだ。

 ドネアは「井上は世界最高のボクサーの一人。私は必ず力を証明する」と意欲満々。井上も「どれだけ大きな試合か分かっている。持っている力を発揮し、優勝を目指す」と必勝宣言した。

 試合は緊張感の中、KOのスリルに満ちた戦いになるのは必至だ。

 結論としてドネアの実績を加味しても「井上KO勝ち」の可能性はかなり高いのではないか。世界のファンを驚かせるような結末が待っているような気がする。(津江章二)

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