新録音としては通算17作目となるアルバム。今年の末でデビューから丸16年になるがタイトル通り新たな挑戦に満ちた作品だ。
全12曲中、特に提供作が興味深い。Coccoの『風凛雪花』では、静かな失恋バラードだが終盤で内に秘めた激情を熱唱したり、藤井フミヤの『恋』でも大らかな曲なのにどんどん音域が広がったりと、明らかに平原に宛書きされているのだ。
さらに、槇原敬之提供の『はじめまして』は、争い合う国の二人が恋に落ちるというバラードで、声高に戦争反対と叫ぶよりも、平和への祈りが優しく体に浸透するようだ。これも平原だからこそ言葉や旋律が気高く響く。
また、平原自身が詞曲を手がけた楽曲は、どれも前向きなポップスでありつつ、どの国にも属さないような不思議な雰囲気が漂う。特に『THAT’S THE WAY IT IS』は、荘厳さと力強さが備わっていて、ありきたりなエールソングが嫌いな人にこそ聞いてほしい。
他にも、さだまさしの『いのちの理由』のカバーや、ディズニー映画『メリー・ポピンズ リターンズ』のエンドソング『幸せのありか』では、これまで以上に温かな歌声も聞かせる。どんなジャンルでも品格をもって取り組む姿は、さながらサラ・ブライトマンだ。
長期的な夢を叶えたい時に本作を聴けば、より自分を信じて前に進めるはず。
(ユニバーサル・3000円+税)=臼井孝