『永遠に僕のもの』 耽美さと、エグさを併せ持つ映像センス

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 本作の主人公カルリートスは、その美しいルックスから「黒い天使」「死の天使」と呼ばれたアルゼンチン犯罪史に名を残す連続殺人犯カルロス・ロブレド・プッチがモデルだ。1971年から72年にかけて強盗と殺人を繰り返し、その冷酷さと美貌のギャップによって社会に衝撃を与えたという。そんな実話に基づく本作には、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバルが製作に携わっている。

 善良な両親の愛情を受けて育ちながら窃盗を繰り返す17歳のカルリートスは、転校先で野性的な魅力を放つ同級生のラモンに引かれ、彼とチームを組んで犯罪に手を染めていく…。罪悪感も躊躇もなく人を殺すカルリートスは、明らかにサイコパスだ。美しいだけでなく独特のオーラがあって、一挙手一投足から目が離せない。とりわけ冒頭とラストで見せるダンスはインパクト大で、エレガントなのにどこかシュールで寒々しい。

 そこから分かるように本作の見どころは、主演のロレンソ・フェロと視覚に訴えかける演出にある。監督のルイス・オルテガは日本では無名だが、耽美さとエグさや生々しさを併せ持つ映像センスや、特に室内の空間表現に才気が感じられる。ちなみに、原題は「EL ANGEL(天使)」。誰が付けたのか、なかなか気が利いた邦題だと思う。★★★★☆(外山真也)

監督:ルイス・オルテガ

出演:ロレンソ・フェロ、チノ・ダリン、セシリア・ロス

8月16日(金)から全国順次公開

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