すっ、すんごい本だな……!!婚活女子に捧ぐ突っ込み千本ノックが激しい本書。ページを捲るごとに「ちょっと待ったー!」が飛び交い過ぎて、これが「ねるとん紅鯨団」だったらなかなか放送終了しなさそう(古)。差し出されるのが薔薇の花ならいいんですけどね、そんな甘っちょろいものじゃない。全ページに迸る本気の熱血指導の婚活本が、この度発売されました。
結婚相談所に勤める仲人である著者。チーフアドバイザーとして成婚退会率65%を誇るんだとか。そんな彼女(アラフォー既婚、婚活経験あり)が、これまで出会ってきた婚活男女との試行錯誤、数々の迷走の果てに見つけた「結婚へ向かえる正しい道(ルート)」を紹介しています。
奥手女子なにがすごいって、相手を選り好みしまくる「お前何様じゃい」な自己評価エベレスト級の婚活女子に向けた、叱咤激励の往復ビンタが冴え渡りすぎている。
「仲人が『良い人ですよ』って勧めているのに『やっぱ妥協しないとダメですかね』とか発言する!」女子に向けて、この鬼ギレ。
「年収は悪くないけど服がダサい!?
うるっせえーーー!!
チャラチャラおしゃれせずに勉強頑張ってきたから、今これだけ稼いどるんやろが! 服ぐらいオマエが着替えさせろ!
イケメンだけどバツイチだし年収低い?
イケメンで、初婚で、年収高かったらアンタより若い美人と会っとるわ!」
……とね、全ページに渡り、めっちゃキレてんですよ。キレつつも全力で応援してくれてるんですよ。
とはいえ、読み進めるごとに浮かんでは消えるひとつの疑問。
(そんな……結婚に向けて邁進する正しいルートをビシバシにレクチャーしてくれてるけど、そもそも結婚したいのかわかんないとこあるけど私……)
と思っていたら最終章、なかなか結婚に前向きになれない人の共通点が書かれていて、グサー。痛いところ突かれ過ぎて、今私、八つ裂き通り越して十六裂きにされております。願わくばもうちょっと深堀りしてほしかったけど、それはカウンセラーとか精神科医の仕事か。
既婚者と独身者の間に流れる深くて長い川の存在はビシバシに伝わってくるのだけど(だって「本当に幸せになれる方法」とか書いちゃうんだよ。結婚しなくても幸せじゃい!!)、それでも読み物として超おもしろい。それは本人の考えにブレがないこと、端々から漂うオタクの香り、そして何より、本人が書くことを心から楽しんでいるのが伝わってくることが大きいのかもしれない。あー楽しかった!
(大和出版 1400円+税)=アリー・マントワネット