『新聞記者』 国家の闇にここまで斬り込んだのは天晴れなり!

(C) 2019『新聞記者』フィルムパートナーズ

 映画『サニー 永遠の仲間たち』『怪しい彼女』のシム・ウンギョンがヒロインに扮し、日本国家の闇を追う記者役を熱演。対する官僚側の若手エリートで、自らの正義と国家の闇の狭間に揺れる男を松坂桃李が演じます。監督は、映画『青の帰り道』『デイアンドナイト』などを撮り、今多くの若手俳優が一緒に仕事をしたがっている、俊英の藤井道人です。

 皆さんは、菅義偉官房長官の会見で、長官に食い下がりながら鋭い質問をし続ける東京新聞の望月衣塑子記者をご存知でしょうか? この作品の原案は、望月記者が執筆した同名作品です。現役の記者が暴く日本の政府の裏側は、まあ恐ろしい! まるでSFでも見ているかのように政府の情報操作のシーンが出てきますが、政治に邪魔な一個人を社会的に抹殺するために、SNSに有る事無い事を流して追い詰めていく様子はリアルすぎて、思わず日本の政府を疑い始めてしまいます。

 でもそれこそが、この映画を観た意味と言えるのではないでしょうか? 世の中で流されている政治のニュースだけが本物なのか。そこに何かのバイアスがかかっているのではないか? いろんな目の前のニュースを疑い、いろんな記者さんの視点からいろんな記事を読んでいきたいと改めて考えさせられました。それにしてもここまで斬り込むってすごすぎ! 映画の関係者さんが、政府に消されないかビクビクしてしまいます。★★★★☆(森田真帆)

監督:藤井道人

出演:シム・ウンギョン、松坂桃李

6月28日(金)から全国公開

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