『ハウス・ジャック・ビルト』 殺人犯のヤバすぎる脳内にイン

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 『ニンフォマニアック』で<色情狂>を描いたラース・フォン・トリアー監督が挑戦するのは<殺人狂>の男。舞台は1970年代のアメリカ。建築家を目指すジャックはハンサムな笑顔の裏に狂気を隠し持っているシリアルキラー。ジャック役は、最近どんどんちょいワルイケメンなオヤジ化しているマット・ディロン。

 もう最初に言っておきますが、カンヌ国際映画祭で初上映したとき、観客が続々と出ていったという事実が物語っている通り、描写はひたすらエグいし残酷。アメリカでは修正版のみが上映されたのですが、日本では無修正完全ノーカット版を18禁で上映します。

 『SAW(ソウ)』とか『羊たちの沈黙』とかエグい映画もシリアルキラー映画も数あれど、ここまで殺人鬼側に寄り添って殺人を描いた映画はなかなかない。サイコパスな彼の頭の中に放り出されると、「殺人」がめっちゃくちゃ魅力的なものになっちゃう。「人殺したい」衝動は強い上に、強迫観念がすごかったりするから、「あ、あそこちゃんと血拭いといたっけ」症候群で掃除が止まらん! みたいなところとかあって思わず笑っちゃったりするわけです。殺人で笑うなんて不謹慎よ!って人は絶対怒り出します。ちなみに私、グロには耐性無いのですが、友達と一緒に小声で「きゃー」「ヒエー」と悶絶し、時に「不謹慎~!」ってツッコミながら、最後まで全然平気で、いやそれどころかちょっと楽しく観れちゃって。そんな自分に正直ドン引きしています。★★★★★(森田真帆)

監督:ラース・フォン・トリアー

出演:マット・ディロン、ブルーノ・ガンツ、ユマ・サーマン

6月14日(金)から全国公開

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