『アラジン』 大胆なアレンジ、創意工夫の演出は見応え十分

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 2017年の『美女と野獣』の大ヒット以降、ディズニー・アニメの実写化に歯止めがなくなっているようで、今年は既に『ダンボ』が公開され、本作の後には『ライオン・キング』、来春には『ムーラン』が控える。本作は言わずと知れた、「アラビアンナイト(千夜一夜物語)」の名高いエピソードに基づく1992年の大ヒット作の実写化だ。

 魔法のランプに宿る魔人から「3つの願いを叶えてやる」と言われた貧しい青年アラジンが、王女との恋を成就させようとするが…。今回も同様のミュージカル仕立てで、アニメ版の内容をほぼ忠実に踏襲しているが、ユニークなのは、冒頭いきなりネタバレで始まる展開。3つ目の願いを最初からバラしちゃうなんて!と、その大胆なアレンジに驚かされるが、でも分かっていても、否、分かっているからこそラストのカタルシスがひとしおで、エンターテインメントにおける予定調和の重要性を改めて実感させられた。

 監督は、『ダンボ』のティム・バートンに続き、今回も鬼才ガイ・リッチー。『ダンボ』は毒気の抜けたティム・バートンで拍子抜けだったが、ガイ・リッチーは痛快なアクションと登場人物のキャラ立ちが武器だけに、この題材は意外とハマっている。冒頭のアラジンの大立ち回りや、魔法の絨毯による追いつ追われつの攻防戦など、創意工夫に満ちた演出は見応え十分! ★★★★☆(外山真也)

監督:ガイ・リッチー

出演:メナ・マスード、ナオミ・スコット、ウィル・スミス

6月7日(金)から全国公開

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