にこるん、出版おめでとうございます! 今やテレビで見ない日はないと言っても過言でないほどに、忙しくしている彼女。久しぶりの新刊は、20歳になった藤田ニコルの今が詰めこまれたフォトエッセーだ。
デビューまでのこと、「nicola」から「Popteen」、そして「ViVi」へ、専属モデルとして培ってきた想い、自身で立ち上げたファッションブランドのこと、家族のこと、メイクにファッション、恋のこと、そしてコンプレックスと病みのこと……。等身大とか言うとクソ陳腐だけど、偽善も偽悪も知らなさそうな口ぶりで、あっけらかんと自分のことを語るのが印象的だ。
それにしても、だ。どうしてこんなに愛されるんだろう。星の数ほどいるモデルの中で、藤田ニコルだけがどうしてこんなに、書籍を出せばモデル仲間や芸人や、大御所芸能人からの直筆コメントが並び、また言わずと知れた「にこるんファン」梅沢富美男との対談がドーンと掲載されたりするんだろう。
そんなことを考えながらページをめくると、こんな言葉が目に留まった。
「『無理しないで頑張る』ってみんなよく言うけど、うちは無理してないと頑張れない。じゃないと結果は残せないし。仕事は無理するもので、新しい自分になりたいと思ったら無理をしないとダメなんです」
一生懸命。そしてそれを隠さない。頑張るって、最近あんまり聞かなくなったけど、前時代的とも言われそうな愚直さが、そしてそれを臆面なく口にする泥臭さが、オジサンたちをも虜にするのだろう。
「にこるんみたいになりたい」って、アラフォー女が口にするのは憚られるけど、でもどうしたって応援したくなってしまう魅力溢れる一冊だ。きっと本人は「いやいや、嫌われてるくらいがちょうどいいんだけどね」とかって言いそうだけど。
(講談社 1200円+税)=アリー・マントワネット