<ブレーク盤> ウォルピスカーター『これからもウォルピス社の提供でお送りします。』 さらに進化した超高音ボーカル

ウォルピスカーター『これからもウォルピス社の提供でお送りします。』

 超高音ボーカルで注目されてきた男性歌手の3rd。ますます濃密な作品になっている気がした。

 まず、強みの高音はさらに進化。“歌ってみた”系の動画で人気の『天ノ弱』は、よりシャープで歌詞が以前よりもよく聞き取れる。ピアノロックの『DAYBREAK FRONTLINE』は超絶高音に加えあまりの力強さと激しさに、もしLIVEで聴いたら卒倒しそうだ。

 また、書き下ろしの5曲も“ウォルピス”色が濃い。特に、米ロック風の『STILL GREEN』では、海外のバンドにも負けぬほどの迫力。緩急の激しいロッカ・バラードの『泥中に咲く』は、闇の中から希望を見出そうと絶唱する様子から、往年の浜崎あゆみ並みのヒット感もある。

 更に、本作ではJ-POPカバーの『未来予想図II』と『M』を収録。女性と同音域なのは見事なので、欲を言えば、恋愛や失恋を想起させる“まったり”した雰囲気も出るとよりしっくり聴ける気がした。

 オーケストラや和楽器と共演しても埋もれぬ歌声を発揮するだろうし、今後も楽しみ。本作を聴けば、強みをキープしつつ仲間を増やすための何らかのヒントも得られるはず。

(サブカライズレコード・2222円+税)=臼井孝

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