<ブレーク盤> 田村芽実『輝いて~My dream goes on~』 様々な声を駆使したパフォーマンスは見事

田村芽実『輝いて~My dream goes on~』

 アイドルグループ、アンジュルムの一員だった女性が、歌手と女優の“二刀流ディーヴァ”としてデビューしたシングル。まだ20歳だが、様々な声を駆使したパフォーマンスが見事だ。

 表題曲は海外のソングライターによるメロディーに、藤林聖子が詞をつけたドラマティックなミディアム・ナンバー。静かに歌う前半から後半にかけて熱唱していく変化からは、一人の少女が夢に邁進する様子が鼓動を打つように伝わる。また、カップリング曲の『Summertime』では80年代洋楽風の明るい曲に田村自身が詞をつけ、コケティッシュに歌っており、表題曲とも違う表情を見せる。

 さらに、DVDでのカバー曲LIVEでは、中島みゆきや斉藤和義の語り口調の楽曲では甘い声なのに、ミュージカルの劇中歌では凛とした歌声でロングトーンで魅せ、その声のバリエーションが半端ない。ここでも椎名林檎作詞・作曲の『人生は夢だらけ』のような多面的に展開する楽曲が際立つ。あまりのレパートリーの多さに、トークでの無防備な妹キャラが、逆に信じられなくなるほどだ(笑)。

 通常盤では、ミニー・リパートン『Lovin’You』をカバーし、この曲の見せ場でもある超高音も難なく披露。本作を堪能すれば、若い世代の才能に高をくくれないことを痛感するはず。

(ビクター・CD+DVD初回限定盤A 2222円+税)=臼井孝

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