『わがチーム、墜落事故からの復活』 事実は小説よりも、辛く悲しくて感動的だ

 本作は、2016年、飛行機の墜落事故によって監督、選手のほとんどを失ってしまったブラジル1部リーグ・セリエAのサッカーチーム、シャペコエンセのその後を追ったドキュメンタリー。

 「SHOW MUST GO ON(ショーは続けなければ)」という言葉と同様、シャペコエンセも失意に浸る暇もなく動き出さなければなりませんでした。事故後にチームを待っていた超過密な試合スケジュールに向けて、チームはすぐに新しい選手をリクルートし、試合に向けて調整を始めますが、簡単に呼吸が合うわけもなくチームには焦燥感が漂い、内部での争いも絶えません。シャペコエンセが地元の人たちに支えられながら復活を遂げるまでの道のりを追う一方で、カメラは、19人ものチームメイトを一度に亡くし、心に大きな傷を負ったままリハビリに励む生き残った3人の選手の葛藤や、幼い子供を残された選手の妻たちの姿も追います。

 人間は簡単には立ち直らないし、遺族はお金だったり、人生だったり、綺麗事では済まされないことがたくさんある。私は元野球部のマネージャーで、サッカーにはまるで明るくありませんが、そんなことなどどうでもいいくらい絶望から這い上がる力を見せてもらいました。どん底にいた彼らが、応援してくれる地元の人々のために、そして亡くなったチームメイトのために一丸となっていく姿は力強い。辛く、悲しい現実を乗り越えて、彼らの努力が引き起こした奇跡を劇場で体験してほしい。つい拳を突き上げたくなってしまうことでしょう。★★★★★(森田真帆)

7月6日(金)から全国順次公開

監督:マイケル・ジンバリスト、ジェフ・ジンバリスト

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