『エヴァ』 妖艶な年上女性の魅力に惑う

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 映画『エル ELLE』で妖艶な熟女の魅力を存分に発揮したフランスの女優イザベル・ユペールが、若くハンサムな作家を惑わせて破滅に追い込んでいく魔性の女を熱演している最新作『エヴァ』。ジェームズ・ハドリー・チェイスの小説を、ブノワ・ジャコー監督が映画化し、2018年、第68回ベルリン映画祭国際コンペティション部門に出品されました。

 原作は、フランスの大女優ジャンヌ・モローがヒロインのエヴァを34歳で演じた1962年の『エヴァの匂い』という映画でも知られていますが、そのヒロイン役を当時のジャンヌよりも2倍近い年齢のイザベルに演じさせるというのはものすごい挑戦です。彼女に翻弄される若き作家を演じるのは33歳のギャスパー・ウリエル。綺麗な婚約者がいるのに、親子ほど年の離れた娼婦・エヴァの魅力に取り憑かれてしまうなんてあり得るのか!? と思ってしまいますが、完璧なツンデレのエヴァとだんだん深みにはまっていく男の姿を見ていたら完全に納得! キラキラな恋愛映画がバッカバカシクなっちゃうほど、大人の恋愛。相手に振り回されてばかりだった若かりし自分に見せてやりたい! ああ、あんな悪女、本当に憧れてしまいます。歳を重ねることって怖かったけれど、凛としたエヴァの姿から、大人の女性として、歳を重ねていくことで出てくる美しさや、知的な色気など学ぶべきところが沢山ありました。★★★★☆(森田真帆)

監督:ブノワ・ジャコー

出演:イザベル・ユペール、ギャスパー・ウリエル

7月7日(土)から全国順次公開

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