『サラリーマン川柳 やみつき傑作選』やくみつる・やすみりえ・第一生命選、 NHK出版編 人生を笑え

 いやー今年も来ました、サラセンの季節。もうね、国民的川柳大会といえば第一生命の「サラリーマン川柳」ってことでいいんじゃないですかね。

 バブル真っ只中の1987年から始まって、今年で31年目を迎えるこの催し。本書は2017年の投稿作品の中から、人気投票で選ばれた作品、選者であるやくみつる、やすみりえが選んだベストテン、そして平成を振り返る歴代ベスト30を一挙掲載しています。

 

言ったけどだれに言ったかわからない よみ人知らず

都合よく「若手」「中堅」使われて アラサー女子

辞めますもSNSで済ます部下 旧新人類

 さっそくアリー的ベスト3選んでみましたが、いやー素晴らし! あらためてサラセンと膝を付き合わせてみると、この良さ、子供の頃はわからなかったなぁとしみじみ思うわけです。

 「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」とか、「会議室でおべんと食べてもいいじゃん(見逃してくれよ~)」だとか、まぁどっちも古いですが、昔々、サラリーマンてのはお気楽なものだと歌われていました。

 でも大人になって会社で働きだしてみると、怒られたり失望されたり指導したりなだめたり、日々反省しきりなわけです。「話が違うじゃねえか!」です。悔しいことも恥ずかしいこともある一方で、胸を震わせるような思いもある。働きはじめて13年。クソ陳腐だけど仕事って、かけがえのない経験だなと思えるようになりました。

 同じように試行錯誤しながら、今日も働く人がいることを、サラリーマン川柳は教えてくれます。儘ならない若手のことも、儘ならない自分のことも、割りきれない思いを、人生そのものを笑いに換えながら暮らし、働いている人がいる。それはきっと読む人の勇気になると思うのです。

 そんな川柳の数々に背中を押され、私もひとつ、詠んでみました。人生を笑い、顔を上げて日々に立ち向かうために。

同僚が「辞めたい」と言い「え?やりたい?」

セクハラ!

(NHK出版 950円+税)=アリー・マントワネット

© 一般社団法人共同通信社