8年前に戦力外通告をされて以来、自堕落な生活を送る元野球選手の男が主人公の本作。ていうか、この主人公、女の私から見るとあまりにもクズすぎて同情の余地もなし！ 働かない、酒乱、女癖、本当に呆れて物も言えないような、クズの中のクズなわけでめちゃくちゃイライラするんです！ さて、この人生どん底にいるアラフォーのクズ男が挑戦するのは競輪の世界。競輪選手の養成所に入所した彼を待ち受けていたのは地獄のようなシゴキと、年下の同期からの壮絶なイジメ。泥沼の中で、泥をすすりながら這いつくばって、足掻きまくる！
スポ根というほど、キラキラしていないし、主人公はクズのおっさんだし、どうしようもないほどキッツイ映画なんだけど、映画を観ている途中から胸がどんどん熱くなって、いつのまにか歯を食いしばりながら、「頑張れ」「頑張れ」と主人公を応援してしまいます。まさに体当たりで主人公を演じている安部賢一の演技は、本当に私たちの胸を熱くさせます。
人間は、人生のどこかで失敗して、もう這い上がれないかもしれないってくらい落ち込むことがある。でも、そこからあがいて、必死になって這い上がること。あがきながら這い上がろうとしなきゃ一歩も前に進めない。たとえ、目には見えない前進だと思っても、心の中で一歩前進することが大事なんだってことを感じさせてくれる映画です。今、人生が辛いと思っている人、この映画を観て、主人公と一緒にあがいてほしいです。★★★★☆（森田真帆）
監督:江口カン
出演:安部賢一、福山翔大
5月26日（土）から全国順次公開
