『月曜日の友達 1.2巻』阿部共実著 ある短い季節が放つ光

 繁華街にほど近い、ターミナル駅の地下街。の隅で、忘れ去られたように佇む喫茶店。の隅で、声を殺して泣いた。顔を上げると窓。の向こうの帰宅ラッシュに、気付かれないよう慌てて拭う。が、誰も気に留めていない模様。なので視線を落としページをめくり続行。ここはずいぶん居心地がいい。

 舞台は海しかない田舎町。中学一年生の水谷茜は、色恋沙汰に興味津々の級友たちについていけなかった。「なぜ、私はみんなみたいになれないんだろう」「どうやってみんな大人になったんだろう」。ある日の夜、家から飛び出し向かった夜の校庭で、水谷は一人の少年と出会う。同じクラスの月野透。

 彼は「俺は超能力が使える!」と豪語する変わった少年。この日を境に水谷と月野は毎週月曜日の夜、ここで会うことを約束する。月野の超能力の練習のために。

 個性的な絵と、作られたようなセリフ回しで(例えば「真実ならば許しがたい蛮行!」「なぜごろつきのお前たちのほうが私を異常扱いしてるんだ!」など)、最初はすこしぎょっとしたが、読み進めるにつれ、胸が痛くなる。借りてきたような言葉と言葉の隙間にぽつんと転がる、少女と少年のまっすぐさが、胸を打つのだ。

「生まれてはじめて、友達ができたよ」。

 ある短い、ほんとうに短いある季節を描いたこの物語は、やはり短く2巻で完結する。水谷に月島、土森に日向(ひむかい)、時々当たる金ちゃん占いでお馴染み金石先輩に、火木(ひき)。みんな優しくて、みんないい子。みんな、みんなと出会えてよかったね。

 戻れない日々が、終わりの予感が、この瞬間を一層忘れられないものにする。眩さと切なさはよく似ている。

(小学館 各552円+税)=アリー・マントワネット

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