<大ヒット盤> SCANDAL『HONEY』 バンドの一体感が半端ない

SCANDAL『HONEY』

 女性4人組バンドの8thオリジナル。初期のアイドル的な稼働が想像できないほど、現在の音楽への取り組みは真摯だ。

 CDの全10曲、約40分があっという間に終わるほど、全編を通してバンドの一体感が半端ない。前半の2曲のハードロックで失恋から勢いよく抜け出し、続く4曲では自分探しの想いをミディアム調の楽曲に託す。そして、唯一スローな『窓を開けたら』で内省的な自分から目覚めた途端、残り3つのアッパーチューンで次の恋に突き進んでいくという構成で、まるで女性の成長をテーマとした人気ドラマを観ているようだ。特に、最初の『プラットホームシンドローム』と『OVER』にて、感傷に浸ることなく、むしろ次のステップへとエンジンをかけるかのように、最大限にまくし立てた演奏が印象的。全体に奇をてらわずして飽きさせない内容が見事だ。

 歌詞を読みこんでから聴くと、楽曲ごとに微妙に異なる歌声や演奏にも気が付く。何事も気合いを入れれば何かしらの答が見つかることを、本作が教えてくれるはず。

(ソニー・CD+DVD初回盤 3426円+税)=臼井孝

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