<ブレーク盤> FIVE NEW OLD『Too Much Is Never Enough』 “洋楽の懐メロ”ファンには堪らない

FIVE NEW OLD『Too Much Is Never Enough』

 ボーカル&ギターのHIROSHI、ギターのWATARU、ドラムスのHAYATOの3人による神戸で結成されたバンドのメジャー初のアルバム。“邦楽の新人”ながら、“洋楽の懐メロ”ファンには堪らない作風だ。

 全12曲、日本語ラップの入った『Liberty』以外は、全編HIROSHI自身が手掛けた英語詞で、滑らかな発音でありつつ、日本人らしい穏やかな歌声が持ち味。そして、西海岸風の乾いたサウンドが心地よい『Sunshine』や、残響の大きなドラムが印象的な『Stay』、更にコーラスワークが温かい『By Your Side』など、とにかく80年代の洋楽エッセンスが散りばめられている。英語詞メインでも決してパンキッシュではなく、また都会的に洗練された演奏で魅せつつもメロディアスな部分は懐かしい。それゆえ、今後幅広く受け入れられそうな大器を感じさせる。

 ちなみに歌詞も、どこか洋画を見るようでウィットに富んでいるので、歌詞の日本語訳も参考にされたい。本作を異なる世代の人と共に聴けば、互いの理解が明るい方に向くキッカケが作れるはず。

(トイズ・2800円+税)=臼井孝

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