<大ヒット盤> Kiroro『アイハベル』 生活感ある曲に意表突かれる

Kiroro『アイハベル』

 約13年ぶりとなる7thオリジナル。子育ての合間を縫って制作したことや、ギタリストの片山義美と多数共作したことにより、かなり多彩になった。

 本編11曲中、1曲目の『アニバーサリー』は、ミディアム調に、「長い間」など過去の曲名を忍ばせ、また10曲目の『OK OK』も爽やかで明るいナンバーで、序盤と終盤は割と想定内の作風だ。

 他方、5から8曲目に意表を突かれる。子育ての喧騒をロックに乗せた『無敵なBig Smile』、分厚いコーラスの中で熱唱する『Let’s Go Together』、さらに玉城の多重スキャットが幻想的な『ルルリラ』と異色作が続くのだ。トドメの『鳥かご』も、「寂しさが募り/鳴かなくなった鳥達」のフレーズが倦怠期の夫婦のようでドキッとした。どれも生活感のあるリアルな作品と言えるだろう。

 ボーナス曲は『花は咲く』で、ママさんコーラス風の高音が貴重かも。大切な誰かを想いつつ本作を聴けば、多少の心配事があろうと、それも一つの成長だと前向きに思えるはず。

(ビクター・3000円+税)=臼井孝

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