デビュー40周年作は、様々な人に宛てた感謝の作品集と言える。
穏やかな『海のテーマ2018』を経て、前半の3曲は、母、亡き友、そして愛犬について。慈悲に満ちた表題曲、平和を強く願う『花束をありがとう』、そして「君より大切なものなど何もない」と優しく歌う『ハート』のいずれも生きる喜びを強く感じる。
中盤は、ファン投票10～2位の9曲メドレーの『感謝のリクエスト大作戦』と同1位『うみなり』のLIVE。特に『うみなり』のメランコリックな前半から絶唱する後半が、オーケストラ演奏でよりドラマティックに聴こえる。
後半は23年間お蔵入りだった陽気なラテン・ポップスとセクシーな歌詞と歌唱のボサノバ、そして還暦に作った『ときの華』の3曲。『ときの華』は「新しい人生」に希望があるからこそ歌えるパワフルなバラードで、まさに彼女の真骨頂。高年層じゃなくとも勇気がもらえる。
人柄のにじむ全曲解説も良い。当然ながら、彼女も哀しみを乗り越えて今がある。本作から、「現在・過去・未来」、必ず誰かの支えあっての自分だとあらためて思うはず。
（ソニー・2778円＋税）＝臼井孝
