鈴木雅之の歌声を、オーケストラの演奏とともに——。なんとも年末感ただよう素敵な企画だが、公演は2017年4月だそうだ。ソロデビュー30周年&還暦記念の集大成、横浜みなとみらいホールで行われた、自身初となるフルオーケストラコンサート。イタリア・ローマで活躍する「オーケストラ・ディ・ローマ」を指揮するのは、鈴木雅之のカヴァーアルバム「DISCOVER JAPAN」を共に制作した服部隆之だ。
背後にはパイプオルガンがそびえ、荘厳な雰囲気に包まれるステージ。それでも本人はあくまで自然体で、ロックで軽快なMCに会場の緊張感はすぐにほぐれていった。選曲は、シャネルズ時代からのヒット曲に加え、『愛燦燦』『少年時代』など日本の名曲のカヴァーも。笠置シヅ子の『東京ブギウギ』は、オーケストラでこの選曲!? と意外に思ったが、なるほど、作曲が隆之の祖父・服部良一なのだ。往年の歌謡ショーを見ているようなワクワクする展開、オチのアレンジ「歌えヨコハマブギウギ~!」も、大人の茶目っ気たっぷりで最高だ。
ただ、うまいだけじゃなく、緩急があるということ。楽しませる心を、忘れないこと。エンターテインメント界を生き抜いてきたからこその妥協のないステージ構成を、存分に楽しませていただいた。
(エピックソニー・5093円+税)=玉木美企子