野党“埋没” 存在感示せず 来年の地方選へ焦りも

 知事選で野党が“埋没”している。共産党だけは事実上の自前候補を擁立したが、民進党は現職を「支持」し、推薦した自民、公明両党と相乗り。希望の党に目立った動きはなく、社民党は自主投票で静観を決め込む。中央政局の混乱は収束が見通せず、支持者からは来年の統一地方選、参院選での存在感の低下を危ぶむ声も聞かれる。

 「皆さんの夢を中村候補に託そう」。21日、長崎市内であった中村法道候補の個人演説会では、民進県連の渡辺敏勝幹事長が登壇した。

 民進(旧民主)は政権与党だった2010年の前々回選挙で候補を擁立し、自公の支援を受けた中村候補に敗れた経緯がある。その後、政権から転落。統一地方選でも惨敗し、県議は半数近くに減った。知事選では前回に続き独自候補を擁立できず「中村氏支持」にとどめた。

 民進の県内最大の支援組織、連合長崎が中村氏を推薦しており、これに追随した形だ。自公との相乗りについて連合長崎の宮崎辰弥会長は「首長選は政党選挙とは違う。政策実現のために一緒にやった方がいい」と前向きに捉える。ただ、中村候補の事務所開きや集会であいさつを重ねる自民参院議員の姿を見て「民進は後れを取っている」と焦りもにじませる。

 民進の支援で昨年10月の衆院選長崎1区に初当選した希望の西岡秀子氏は、告示日に同市内であった中村候補の出陣式に顔を出したものの、積極的な動きは見せていない。

 社民はさらに孤立感を深めている。

 9日、同市内であった連合長崎の新年交歓会には中村候補も姿を見せた。「(知事選告示前の)微妙な時期なので多くのことは言わないが、意中を忖度(そんたく)いただきたい」。宮崎会長がこう暗に支援を呼び掛けると、社民県連の吉村庄二代表は苦々しい思いでグラスを傾けた。「IR(統合型リゾート施設)推進の中村氏には党として肩入れできない」。自身のあいさつでは熱い護憲論をぶったが、場違いな空気が漂った。

 「対立候補である原口敏彦氏の方が政策的な一致点は多い」と社民県連の幹部は素直に認める。だが、党内で共産に対する拒否感は根強く、自主投票しか残された道はなかった。「いくら無所属といっても、共産党県委員会の幹部だからね…」

連合長崎の新年交歓会で鏡開きをした(右から)西岡氏、渡辺氏、宮崎会長ら=9日、長崎市内のホテル

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