正月料理の定番のかまぼこ、昆布巻き、鮮魚、年越しそば…。年の瀬の30日。長崎市築町の築町市場は、おせち料理の食材や正月用品を買いに訪れた客でにぎわった。
まだ昭和だった頃、この時期になると市場の通りは人が擦れ違えないほどごった返した。それも今は昔。作元鮮魚店の作元フミ子さん(67)は「人口減少で客足は年々少なくなる。スーパーも年中無休だから好きなときに買い物ができるしねえ」とぼやく。
それでも、市場には笑顔と活気があふれる。「これおいしかよ。奥さんに買って帰らんね」「久しかね、元気やったね」。常連客と店主が言葉を交わし、品物を売り買いする光景は変わらない。
蒲鉾(かまぼこ)店宮下商店の今村元彦さん(57)は「年の暮れに毎年来てくれるお客さんもいて、ありがたいなと思う。人とのつながりを確認する時期ですね」としみじみと話す。大みそかも忙しさは続く。