あなたはちゃんぽん派?皿うどん派?二大長崎名物に“愛” 互角の戦い

 ちゃんぽん、皿うどんと言えば、長崎県が誇る二大中華麺だが、その境遇は若干異なる。前者は小説のタイトルにも使われ“長崎名物”路線をひた走り、後者はそれを追い掛けている印象だ。ただ、好みは別物。実際は皿うどんの方がよく注文されているかもと思い、長崎市民50人に尋ねると、ほぼ互角の戦いを繰り広げていた。

 結果は皿うどん24人、ちゃんぽん26人。ほとんどの人は即答できず「どちらも好きなんだけど…」と困り顔。それでも選んでもらった理由からは「愛」を感じた。

 まず皿うどん。「パリパリ、さくさくな細麺が好き」「あんかけの具の熱で軟らかくなった麺がおいしい」「細麺か太麺か、その日の気分で選べる」-。こうした食べ方のバリエーションの豊富さにひかれる人が多かった。

 自営業の山口喜生さん(60)は「大皿に盛ってみんなで分け合って食べられる。これが皿うどんの良さだ」と力説。食べきれなかった場合の2日目の“楽しみ”を挙げる人もおり、主婦(32)は「しんなりとなった麺が野菜あんと絶妙にからみ最高」と話す。

 一方、ちゃんぽんを好む人はスープに対して熱い思いがあるようだ。「いろいろなだしの味が出ていておいしい」「ラーメンとも違う独特の味が好き」などの意見が目立った。このほか、高校生の峰松智さん(16)は「もちもちの麺が好き」、女性会社員(23)は「家でよく食べていた」と皿うどんよりも親近感を覚えるようだ。

 週2回食べるのは橋本剛市議(48)。頭の中にはこれまで食べた店の味の特徴を蓄積。「スープがこってり、しょっぱめ、甘めと選択肢があり、麺もツルツル系ともっちり系がある。無限の可能性がある食べ物だ」とその魅力を語る。

 こうなると甲乙付けがたいが、実際に提供する店でも人気は拮抗(きっこう)している。同市の中華料理店「四海樓」での注文もほぼ半々。観光客はグループ内で二つをシェアして食べることが多いそうだ。

 そもそもルーツは同じだ。四海樓の創業者、陳平順さんが1899年、生活が苦しい留学生を思い、栄養とボリューム、安さを追求して考案したのが、ちゃんぽんの始まり。そこからアレンジして、汁がない太麺の皿うどん、調理工程を簡便化した細麺の皿うどん-と派生していったのだという。

 こうした流れを踏まえ、4代目の陳優継さん(52)はちゃんぽんを“長男”、皿うどんを“次男”と呼び、「どちらか選ぶことはできません」と“親心”をのぞかせた。「どちらが好き?」なんて愚問だったようだ。

あなたはちゃんぽん(左)派?それとも皿うどん派?=長崎市松が枝町、四海樓

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