<大ヒット盤> MISIA『MISIA SOUL JAZZ SESSION』 歌声と演奏が互いを高めながら引き合う

MISIA『MISIA SOUL JAZZ SESSION』

 MISIAのキャリア初となるジャズ・アルバム。USブルーノートのトランペッター黒田卓也氏が編曲を手がけ、本場の演奏家が多数参加しているが、むしろ、いつもの作品より気軽に楽しめた。

 セルフカバーが6曲、新曲が2曲、そしてラストに甲斐バンド『最後の夜汽車』をカバーするという構成。初期のヒット『BELIEVE』や『陽のあたる場所』は、歌声と演奏が互いを高めながら引き合うパフォーマンスに酔いしれる。また、近年の『オルフェンズの涙』も、大地から夜空を見上げるような原曲から、高層ビルから夜景を一望するように景色が一変し感動する。

 新曲の2曲は林田健司が作曲。彼らしい歌謡ファンクと、スリリングな演奏、そしてMISIAの豊かな歌声が一体となり、ジャズのスタンダード並みの安定感が見事だ。

 この高音質CDのみならずハイレゾ配信でもヒットしているが、確かに各パートをより細分化して楽しむのも一興だろう。本作から、大人の雰囲気を保ちつつ、躍動的に魅せる秘訣を学ぶはず。

(ソニー・2300円+税)=臼井孝

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